女工哀史

中学2年の夏、
「あゝ野麦峠」
という映画が公開された。
この映画のポスターを目にした瞬間、私は電撃に打たれた。
主演の大竹しのぶさんが男に抱えられ、
その下半分には雪山を一列になって歩く少女の後ろ姿。
戦前、飛騨から長野の諏訪へ製糸工場の働き手として、10代の農家の娘たちが出稼ぎに行っていた。
手先の器用な女工は高額な給金を手にすることができたが、
過酷な労働条件に体を病魔に蝕まれ、命の危険と隣り合わせに自宅に帰された少女もいた。
その少女の役が大竹しのぶさんだった。
反抗期真っ只中のワタシはこの映画が見たくてたまらなく、
母にねだって連れて行ってもらった。
この歳で母と連れ立って映画なんて。
しかもドキュメンタリータッチの物悲しい映画。
ねだること自体恥ずかしかったが、その恥ずかしさを上回る”観たい”欲求。

なぜこんなにも惹かれる?

映画館は大盛況で、その当時は座席指定制もなく満席でも立ち見で入場できた。
座る席のために次の上映を待つには夕飯に間に合わない時刻が許されなかった。
中学に入ってから、必要以外の会話をしてこなかった母親と、
座席の最後部に並んで立って映画を見た。
見終わったあと、帰路に着きながら母親と感想を話し合った気がする。
「あの映画の時代に生まれなくてよかったね。」
確かそんなことを母親に言われたと思う。

今年、富岡製糸場が世界遺産に認定された。
たまたま知り合った女子大生と行ってみたい場所を話していて、
私が富岡製糸場ってことから、蚕の話になり、
「ワタシ、蚕の成虫のヤママユが好きなんです!あの触角って可愛いですよね。」
と女子大生。

ううう、うん。あの触角、たしかに芸術的ね。

「蚕って自分で木に掴まっていられないって知ってます?」
女子大生ちゃんが言った。
「捕まってられないから、自然界では生きれないんです。」
なぬーーーっ!?
いろいろ調べてみると、絹糸を採取するために特化し品種改良され、
自力で木に捕まることももちろん、羽化したあと口がなくなっているんだと!!!
でもって羽があっても飛ぶことができない。
羽化して生殖活動をし10日ほどで一生を終わる。。。
調べれば調べるほど、せつない生き物。
高貴な方々が着飾る為に採取された絹糸がこんなふうにできるなんて。
50を目前にして知ったワタシ。
でもって家計を支えるために野麦峠を越えた少女たちに思いを馳せた。
なんでこんなにも心惹かれるんだろう。。。
つい最近、大好きな中井貴一さんMCの”サラメシ”で諏訪の宮坂製糸所のお母さんたちのお昼ご飯が紹介された。
お仕事の模様も、もちろん撮影されてた。
あの映画のワンシーンにも映っていた、
沸いた湯のなかの繭から糸を取り出す繊細な作業。
そのお母さんたちの手先を見ていてワタシはやっと解った。
こんなにも心揺さぶられ続けた製糸作業。
ワタシの前世はきっと高給取りの女工だったんだ!!!
でなければ、ワタシの中には絶対製糸作業に携わった人の血が流れてる!!!
細かい作業が大好きで、熱を上げるゲームはツムツムだけ。

2、3mmのビーズを繋げるのも全く飽きない。

40年近く心の奥底で燻っていた思い。
意外な切り口で消化でき一件落着!とばかりに安堵したのです。
いつかきっと、富岡製糸所も諏訪の製糸工場にも訪れ、自分のDNAと向かい合いたいものです。




コメント

No title

 「つむつむ」のくだりは笑えました!
 自分のルーツを探る旅、いつかたどり着くことをお祈りします!!

空手親ばか様

>  「つむつむ」のくだりは笑えました!

いたって真面目に表現したつもりですが、
楽しんでいただけてなによりです(^_^;)
自分探しの旅への応援、ありがとうございます。
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